派遣・請負とは

更新日:2023年10月02日
派遣・請負とは

会社の業務の一部を、人手不足やノウハウ不足などにより、アウトソーシングする方法として「派遣」や「請負」があります。この2つ、同じようにアウトソーシングする方法ということで似ているのですが、違いはどこにあるのでしょうか。違いを知っておかないと、「偽装請負」といった違法行為をおこしかねません。

そこで今回は、「派遣」と「請負」の違いを述べてみました。お互いの特徴や比較の説明をおこない、メリット・デメリットを挙げてみました。アウトソーシングを検討されている企業の担当者の方には、特に読んでいただければと思います。

派遣

派遣は、派遣会社が派遣先企業へ派遣社員という労働力の提供をおこなうものです。

派遣の当事者

派遣に関わる3つの当事者を上げると

  • 派遣先企業
  • 派遣会社
  • 派遣社員

となります。

この3つの役割を具体的に上げると

  • 派遣先企業・・・派遣社員に仕事をしてもらう
  • 派遣会社・・・派遣社員を雇い、仕事を紹介して派遣先企業へ社員を派遣する。派遣社員への給与の支払い
  • 派遣社員・・・派遣先企業で仕事をする

です。

派遣における当事者間の関係

派遣にかかる当事者間の関係をみてみましょう。

契約 内容

派遣先企業と派遣会社 労働派遣契約 派遣会社は派遣先企業へ労働力を提供する

派遣会社と派遣社員 雇用契約 派遣会社は派遣社員と雇用契約を結び、仕事の紹介や給与の支払いをおこなう

派遣先企業と派遣社員 勤務指揮命令 派遣先企業で派遣社員は仕事をする。勤務指揮命令は派遣先企業がおこなう

請負

請負は、請負会社が発注企業へ「決められたことの完成品」を提供をおこなうものです。

「決められたことの完成品」とは、具体的な例をあげると、「ホームページの作成」や、「建築工事の中の基礎工事」、「セミナー講演」などです。

請負の当事者

請負に関わる3つの当事者を上げると

  • 発注会社
  • 請負会社
  • 請負労働者

となります。

この3つの役割を具体的に上げると

  • 発注会社・・・請負会社へ仕事を発注する
  • 請負会社・・・発注会社へ「決められたことの完成品」を提供する。請負労働者へ仕事の紹介、給与の支払い、勤務指揮命令をおこなう
  • 請負労働者・・・「決められたことの完成品」を作る仕事をおこなう

請負にかかる当事者間の関係

請負にかかる当事者間の関係をみてみましょう。

契約 内容

発注会社と請負会社 請負契約 発注会社は請負会社へ「決められたことの完成品」という業務の発注をして、請負会社は「決められたことの完成品」を提供する

請負会社と請負労働者 雇用契約・勤務指揮命令 請負会社は請負労働者へ仕事を発注し、給与を支払う。そして勤務指揮命令をおこなう。

発注会社と請負労働者 なし かかわらない

派遣と請負の比較

今までは、派遣と請負の個別で説明してきましたが、ここでは比較することで、さらに違いを明確にしていきます。

派遣 請負

契約の目的 労働力の提供 決められたことの完成品の提供

契約期間 数か月単位で明確に決める 決められたことの完成品の納期を設定する

労働者への勤務指揮命令 派遣先会社 請負会社

契約の目的

派遣は、「労働力の提供」で、請負は、「決められたことの完成品の提供」です。

  • 派遣では、派遣社員が派遣先会社へ労働力の提供をおこないます。そして「時給×時間」と労働時間に応じた報酬が支払われます。残業が発生した場合は、残業代も支払われます。
  • 請負では、発注会社が「決められたことの完成品」を「〇〇万円で発注する」といった契約を請負会社と結びます。そして請負会社は「決められたことの完成品」を提供することで発注会社から「〇〇万円」が支払われるのです。請負では、誰が何時間働こうとも、何人で仕事をしようとも、発注会社から支払われるのは、当初に決められた「〇〇万円」になります。

契約期間

派遣は、「数か月単位で決められた期間」、請負は、「設定された納期」となります。

  • 派遣では、派遣社員が派遣先企業で労働力の提供をおこなう期間を数か月単位で決めます。そして、契約期間満了になると、契約の更新をおこなうか否かを決めます。
  • 請負では、「決められたことの完成品」の「納期」を請負契約で設定します。請負会社はその納期までに「決められたことの完成品」を発注会社へ納品しなければなりません。

労働者への勤務指揮命令

「勤務指揮命令」とは、具体的に「この仕事をしてください」と指示することなどです。派遣は、派遣先企業が、請負は、請負企業がおこないます。

  • 派遣では、派遣先企業が具体的な業務の指示をおこないます。ただ、給与の支払いや福利厚生などは雇用元である派遣会社がおこないます。
  • 請負は、請負会社が具体的な業務の指示をおこないます。給与の支払いや福利厚生なども請負会社からです。

「偽装請負」に注意

「偽装請負」とは、契約では「請負」であるにもかかわらず、実態は「派遣」である状況のことで、違法行為であることから、業務の発注側、受注側ともに罰則があります。

以下が具体的な偽装請負の例となるので、注意しましょう。

  • 発注会社が直接請負労働者へ勤務指揮命令をおこなっている
  • 発注会社が請負労働者に勤務時間を指示したり、始業・終業時間の管理をしている
  • 発注会社が請負労働者の人事評価をおこなう

などです。

派遣・請負のメリット・デメリット

ここまでで派遣・請負の具体的な違いがわかっていただけたかと思います。ここでは、どちらを選択したらいいかの参考になる、両方のメリット・デメリットを簡単にあげてみます。

派遣のメリット・デメリット

派遣のメリット・デメリットをあげてみましょう。

派遣のメリット 派遣のデメリット

  • 必要な人材を必要な期間だけ利用可能
  • 自社の方針で勤務指揮できる
  • 人事面のコスト削減(社会保険料など福利厚生の負担軽減)
  • 人材育成が必要
  • 請負と比較し手間とコストがかかる
  • 雇用期間が最長3年間(直接雇用するか、スタッフの入れ替えが必要)

請負のメリット・デメリット

請負のメリット・デメリットをあげてみましょう。

請負のメリット 請負のデメリット

  • コスト・業務負担の軽減
  • 管理業務の軽減
  • 長期的視点で業務を一任できる
  • 直接勤務指揮命令をおこなえない
  • 発注する業務のノウハウなどが社内の財産とならない
  • 請負先により納品されるものの質が異なる

まとめ

今回は、「派遣」と「請負」の違いなどについて説明しました。同じように、自社の労働力を使うことなく、業務の一部を遂行してもらうので、違いがわかりにくい「派遣」と「請負」ですが、この記事を読んでいただくことで、理解していただけたのではないかと思います。

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