キャリアアップ制度について

更新日:2023年10月02日
キャリアアップ制度について

派遣にはキャリアアップが必須だと聞きます。派遣労働者の権利として、技術の向上などをおこない、給与のアップを狙うことができます。しかし、その機会があまり無いのが現状でした。今回は、その機会であるキャリアアップ制度についての説明をします。これを読んだ派遣労働者の方が徐々にスキルアップしていき、報酬も上がるようになってくれたら嬉しいです。

キャリアアップ制度の概要

2015年、派遣法の改正がおこなわれました。改正の内容は、「派遣労働者のキャリアアップ措置をおこなうことを義務とする」ことです。派遣労働者のキャリアアップを支援することで、派遣労働者のスキルが向上し、それに伴い派遣先企業や派遣元企業も恩恵を受けることとなります。

段階的かつ体系的な教育訓練の実施義務

派遣労働者のキャリアアップ制度の義務化に伴い、段階的かつ体系的な教育訓練の実施が義務化されました。この教育訓練は、「キャリア形成支援制度」に基づいておこなわれることとなっています。

「キャリア形成支援制度」は以下のとおりとなります。

段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画

派遣労働者がキャリア形成をおこなうことを第一に考えた教育訓練の実施計画を段階的、体系的に決めなければなりません。

【教育訓練の要件】

  • おこなわれるる教育訓練の対象者は、雇用する派遣労働者全員であること
  • おこなわれる教育訓練は、有給かつ無償であること
  • おこなわれる教育訓練は、派遣労働者のキャリアアップのためにおこなわれること。たとえば、派遣労働者の賃金などが上がるようになるため、派遣労働者が正社員雇用されるようになるため、業務をおこなうにあたって技術的レベルが向上するようになるためなど。
  • 派遣労働者として雇う際に実施する教育訓練が含まれていること
  • 無期雇用の派遣労働者のための教育訓練は、長い目で見たキャリア構築を目的とした内容であること

キャリアコンサルティングの相談窓口の設置

派遣労働者が派遣社員として働くうえで持つ悩みや疑問を、派遣労働者の気持ちに寄り添いながら解決していくための相談窓口の設置が義務となっています。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 相談窓口にはキャリアコンサルティングに明るい担当者がいること
  • 雇用する派遣労働者全員が相談窓口の利用可能なこと
  • そして、キャリアコンサルティングは、希望する派遣労働者全員が受けることが可能であること

キャリア構築を念頭においた派遣先の提供についての規定

派遣労働者のキャリア構築を考慮に入れた派遣先の選定、提供をおこなうための事務手引きやマニュアルなどが整い、それらの手続きが規定されていることが義務とされています。

教育訓練の時期・頻度・時間数等

教育訓練の時期・頻度・時間数等は以下のとおりです。

  • 入職時の教育訓練は、全員の派遣労働者を対象に必須となります。最低でも、最初の3年間は教育訓練の機会が年1回以上必要となります。そして一定期間おきにキャリアパスに適した研修を準備が必要です。
  • 教育訓練をおこなう時間数は、フルタイムで1年以上の雇用が見込まれる派遣労働者1人につき、毎年おおむね8時間以上の教育訓練の機会を与えなければなりません。
  • 派遣元事業主は上記の教育訓練計画をおこなうにあたり、教育訓練の受講を適切におこなえるように就業時間等に配慮しなければなりません。

キャリアコンサルティングの実施義務

キャリアコンサルティングを希望する者に対しての実施が必要となります。相談窓口担当者は、キャリアコンサルティングに精通している方が理想です。

教育訓練、キャリアアップ制度に関して派遣元企業がおこなうべきこと

派遣元企業が、教育訓練、キャリアアップ制度に関しておこなうべきことをあげています。

教育訓練の措置や、就業の機会を確保する努力をおこなう

派遣元の事業主は、教育訓練などの措置をおこなわなければなりません。そして、就業の機会と密に関係する教育訓練の場を確保するような努力義務があります。

教育訓練計画

派遣元の事業主は、派遣労働者に教育訓練をおこなうに当たり、厚生労働大臣が定める基準に規定する教育訓練計画に基づいておこなわなければなりません。

周知努力義務

派遣元の事業主は、派遣労働者として雇う労働者には、労働契約締結時までに教育訓練計画を知ってもらうことに努めなければなりません。

受講配慮義務

派遣元の事業主は、派遣労働者として雇う労働者には、教育訓練計画に基づく教育訓練を受けられるように配慮しなければなりません。

自主的教育訓練

派遣元の事業主は、義務化されている段階的かつ体系的な教育訓練に、さらに加えた教育訓練を自主的におこない、その訓練にともなうい負担する派遣労働者の費用を実費程度とすることで、講義を受けやすくすることが望ましいです。

書類保存努力義務

派遣元の事業主は、これらの派遣労働者にかかる教育訓練を開催した日程、およびその内容等を記した書類を保存するように努めなければなりません。

教育訓練等の関して派遣先企業がおこなうべきこと

教育訓練等に関して、派遣先企業がおこなうべきことをあげます。

派遣の先労働者と派遣労働者との均衡

派遣先の企業は、その企業が指揮命令をおこなう派遣労働者に関して、派遣元の事業主からの要求に応じ、その派遣労働者がおこなう業務と同じ種類の業務をおこなう労働者が従事する業務をおこなうのに必要な能力を身に付けるための教育訓練については、派遣労働者に対して、これをおこなうような配慮をおこなわなければなりません。

派遣元の事業主との協議、協力等の努力義務

派遣先の企業は、上記のほかに派遣先が教育訓練をおこなうにあたって、派遣元の事業主から要求があった場合は、派遣元の事業主と協議などをおこない、派遣労働者がこの教育訓練を出来る限り受けられるよう協力し、必要に応じたその教育訓練に伴う便宜をはかるように努力しなければなりません。

まとめ

今回は、派遣にともなうキャリアアップ制度について書いてみました。派遣労働者は正社員とは異なり、キャリアアップなどをおこなうための研修技術などノウハウを向上させるノウハウは、あまりありません。しかし法改正にともない安価ないしは無償でキャリアアップのための勉強会などが開催されるようになりました。これを機会に積極的にキャリアアップのための勉強会を受講したり、給料アップがおこなえるように努力してみましょう。

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