抵触3年以内(3年ルール)とは?

更新日:2023年10月02日
抵触3年以内(3年ルール)とは?

派遣で働くこと、派遣社員を受け入れることには、「3年ルール」という仕組みがあります。同じ職場で3年間以上働けないという派遣独特のルールのようなのですが、具体的にはどのような内容なのでしょうか。今回はそのような疑問を紐解いていきます。これを読んでいただくと「3年ルール」のことが理解できると思います。派遣で働きたい方や派遣を受け入れたい企業担当者の方々は、ぜひ参考にしてください。

派遣法の3年ルール

派遣法の「3年ルール」は、どのようなルールなのでしょうか。原則のルールをあげていきます。

派遣社員の原則ルール

派遣社員は、同一の課やグループには、派遣されてから3年間しか働くことができません。たとえば、2020年4月1日から派遣された派遣先には、2023年3月31日までしか働けないのです。翌日の2023年4月1日は「抵触日」となります。

派遣先企業(事業所単位)の原則ルール

派遣先企業(事業所単位)にも3年ルールが存在します。同一事業所で派遣社員を受け入れることができるのは、3年以内というルールがあります。そして、同じ派遣社員ではなく、数人の派遣社員が働いても3年以内なのです。たとえば、2020年4月1日に派遣社員Aが派遣されます。その派遣社員Aは2022年3月31日に辞めました。その後、2022年4月1日から派遣社員Bが派遣されると、そこで働けるのは2023年3月31日までの1年間になるのです。

ただ、延長できる制度が設けられています。抵触日の1ヵ月前までに過半数労働組合等(労働組合がない事業所においては、労働者の過半数を代表するもの)に意見聴取をおこなえば、期間延長が可能となります。

3年ルール適用外の人

3年ルールには適用されない方々が存在します。どのような場合に適用されないのでしょうか。

派遣会社で無期雇用されている人

派遣会社で無期雇用されている人は、3年ルールは適用されません。3年ルールが適用されるのは、派遣会社で有期雇用されている人です。3年間以上働いても抵触日という概念が存在せず、特段の手続きなくとも3年以上継続して働くことができます。

60歳以上の派遣労働者

60歳以上の派遣労働者は、3年ルールが適用されません。こちらも特段の手続きなく3年以上継続して働くことが可能です。59歳で3年契約満了の場合は、3年ルールが適用されます。

有期プロジェクトに参加している人

有期プロジェクトに参加している人は、3年ルールの適用外となっています。たとえば、あるプロジェクトに参加することになり、そのプロジェクトが5年と長期に渡るものだとしたら、3年ルールは適用されずにプロジェクト終了となる5年働くことになります。

産休・育休・介護休業者の代わりで派遣されている人

産休・育休・介護休業でお休みの人の代打として働く派遣労働者は、3年ルールは適用されません。

日数限定業務で働いている人

働くのが月に10日以下だったり、1ヵ月間で働く日が普通に働いている人の半分以下の日数だったりする人の場合、適用外です。

抵触日を迎えたらどうする

派遣先企業に派遣社員が3年間働いた後は、どうなるのでしょうか?どうすればいいのでしょうか?

派遣先企業に直接雇用される

派遣先企業で派遣社員として3年間働いた際、派遣先企業に直接雇用される方法があります。3年間同じ職場で同じ業務に携わったということは、職場環境に適応していたり、業務内容に精通したりしていることでしょう。派遣先企業は抵触日が近づくと、そのような派遣社員に直接雇用の話を持ちかける場合があります。派遣先企業にとっては、せっかく一から教育して成長した人材なので直接雇用は大きなメリットがあるのです。ただ、正社員としてではなく、契約社員やパート社員などといった雇用形態での話の場合もありますので、契約内容は充分理解する必要があります。

派遣先企業の別の部署で働く

3年ルールが適用されるのは、「同一部署で働く」場合です。ですので、派遣先企業で3年間働いた部署から、それ以外の部署で働くことは問題ありません。企業には、さまざまな風土や慣習があります。それらを理解している人材が働くことは、雇う側にも働く側にもメリットがあると思われます。ただ、別の部署で働くのは全く異なる作業を一から始めることになり、3年間培われたスキルなどを活用できないこともあるでしょう。それを考慮して検討することも大事なことです。

別の派遣先企業で働く

抵触日が到来し、3年間働いた派遣先企業で直接雇用されたり、別の部署で働いたり、または、それらの話があったが断った場合などは、別の派遣先企業で働く方法があります。派遣会社の担当者と相談してみましょう。3年間で培ったスキルを生かせる職場が見つかるかもしれませんし、全く異なる分野へチャレンジしたければ、それに応える職場を紹介してくれるかもしれません。

派遣会社に無期雇用される

派遣期間が通算で5年を超える場合、派遣社員の希望により、無期雇用派遣への転換が可能です。無期雇用派遣になると、派遣期間の制限が撤廃されます。よって、同じ派遣先企業で引き続き働くことが可能となります。ただ派遣先企業が、これ以上必要ないと派遣を断った場合、別の企業で働くことになります。

その他3年ルールに関すること

派遣法の3年ルールには、その他、知っておくべきことがあります。以下にあげる2点は、特に知っておくべきことなので理解しておきましょう。

クーリング期間

3年ルールには、クーリング期間があります。具体的に言うと、派遣先企業で3年間働くと、それ以上は働き続けられません。しかし、抵触日から3ヵ月と1日を経過するとリセットされて再び働くことが可能となるのです。その3ヵ月と1日がクーリング期間といいます。これは派遣社員だけではなく、事業所単位での3年ルールにも適用されます。

ただ、実際に派遣先企業が、クーリング期間を経て再び同じ派遣社員を受け入れることに関しては、法律の趣旨に反することで望ましいことではありません。そして派遣会社がクーリング期間を経て、派遣社員の希望に関係なく派遣をおこなうことも同様です。

紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、最長6ヵ月間派遣社員として働き、派遣先企業と派遣社員が合意すれば、直接雇用されるという形態の派遣です。派遣先企業も派遣社員も、最長6ヵ月間にお互いの仕事ぶりや、会社の雰囲気を知ることができ、それを感じたうえで直接雇用に至るか、断るか決めることができます。これは大きなメリットとなります。ただ、一般派遣よりは直接雇用される可能性が高いですが、必ずそうなるとは限りません。

まとめ

今回は、派遣法の3年ルールについてお話してきました。派遣という働き方は、自由がきく反面、将来に不安を感じるものがあるのは事実でしょう。そして3年ルールは、さまざまな働き方の選択肢が与えられます。派遣先企業としても、メリット、デメリットのある制度ではあります。どの立場の方々も、このようなルールがあることを念頭に置いて派遣という働き方を理解していきましょう。

新着情報

抵触3年以内(3年ルール)とは?

抵触3年以内(3年ルール)とは?

有給休暇について

有給休暇について

キャリアアップ制度について

キャリアアップ制度について

育児休業について

育児休業について

残業60時間以内について

残業60時間以内について