36協定について

更新日:2023年10月02日
36協定について

36協定とは、働いているとよく耳にする言葉ですが、一体どういったものなのでしょうか。今回は、36協定の詳しい説明をおこないます。企業にも労働者にも大事な協定となっているので、これを読んで正しく理解してください。

36協定とは

「36協定」は、労働基準法36条で定められた内容に関わる労使協定が由来した名称です。

36協定とは

労働基準法では、法定労働時間は週40時間以内、かつ1日8時間とされており、休日は4週につき4日と定められています。しかし、忙しい時は、従業員に残業して働いてもらいたい場合があるでしょう。そういった場合、36協定を締結しておく必要があるのです。

法定労働時間と所定労働時間

法定労働時間とは、国が定めた労働時間で週40時間、1日8時間となっています。

それに対し、法定労働時間と似たような言葉で「所定労働時間」というものがあります。これは個々の企業が独自に決めた労働時間のことです。所定労働時間は法定労働時間の範囲内に収めなくてはなりません。

「所定労働時間」が週35時間、1日7時間の企業がある場合、少し残業があり、週40時間、1日8時間仕事をすることがあるとしたら、36協定は締結する必要があるでしょうか。答えは「ノー」です。この時間だと「法定」労働時間の範囲内となるので、36協定の締結は必要なく残業をおこなえるのです。

36協定で認められる残業時間

36協定を締結したからといって、何時間でも残業をおこなわせることができるわけではありません。上限がきまっています。

36協定を締結した場合、時間外労働と休日労働がおこなえる上限時間は、月45時間、年360時間という決まりがあります。それ以上の時間外労働・休日労働をおこなわせると労働基準法違反で罰則があります。

しかし、これには特例が設けられています。繁忙期などでどうしてもそれを超える時期が必要な場合などを想定し、「特別条項付き36協定」という制度があるのです。

特別条項付き36協定は以下の締結が可能です。

  • 年720時間以内
  • 2~6ヵ月の時間外労働および休日労働が月平均80時間以下
  • 1ヵ月の時間外労働および休日労働が100時間未満

なお、特別条項付き36協定は年に6つの月でしか使えません。そして、「繁忙期であるため」、「決算期であるため」などの詳細な理由が必要となります。

【労働時間の各上限】

上限

  • 特別条項付き36協定 年720時間以内の時間外労働・休日労働
  • 2~6ヵ月の平均80時間以下の時間外労働・休日労働
  • 単月で100時間未満の時間外労働・休日労働
  • 36協定 年360時間以内の時間外労働・休日労働
  • 月45時間以内の時間外労働・休日労働
  • 労働基準法 週40時間以内
  • 1日8時間以内

36協定を締結する者

36協定は、企業と労働者との労使協定です。お互いが条件を確認し、納得いく形で締結されるものです。

締結する「労働者」側には決まりがあります。以下に該当する者が締結に臨みます。

  • 労働組合がある企業・・・事業場に使用されているすべての労働者(パート・アルバイト・契約社員・派遣社員などを含む)の過半数で組織する組合であること
  • 労働組合がない企業・・・以下における代表者と締結します
  1. 労働者の過半数を代表している(労働者は正社員・パート・アルバイト・契約社員・派遣社員などを含む)
  2. 36協定を締結するための過半数代表者を選出することを明らかにした上で、パート・アルバイト・契約社員・派遣社員を含めた事業所全員が参加できるようにした環境で、投票・挙手などにより選ばれた
  3. 管理監督者以外から選出する。管理監督者とは管理職とは限らず、労働条件の決定や経営者と一体となった立場の人である。

36協定が適用されない場合

36協定には適用されない労働者やケースがあります。

36協定が締結できない労働者

  • 18歳未満の年少者・・・18歳未満の年少者は、法定労働時間を超えた労働自体が原則できないので、36協定の概念がありません。そして深夜労働や休日労働も原則できません。
  • 育児・介護をしている労働者・・・育児介護休業法により、小学校就学の始期のこどもを養育していたり、要介護状態にある対象家族(配偶者、父母、こども、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹。孫)を介護している労働者から時間外労働を制限したい申し出があった場合、正常な運営を妨げる場合をのぞいて、1ヵ月24時間、1年150時間を超過した残業、深夜労働で働かせることができず、36協定を締結できません。
  • 妊産婦の労働者
  • 管理監督者

36協定の適用が2024年3月31日まで猶予されている業種

  • 建設事業
  • 自動車運転の業務
  • 医師
  • 鹿児島県、沖縄県の砂糖製造業

36協定の適用除外となる業務

新技術・新商品等の研究開発業務は、36協定の上限規制になじまない理由より除外されています。ただし週40時間を超える時間外労働が月100時間を超える場合、労働者に医師の面接指導を受けさせる義務があります。

まとめ

今回は、36協定に関するお話でした。36協定は、労働時間に関する労使協定で、双方が同意してはじめて成立するものです。お互いが企業のため、労働者のためを思い、そして顧客の幸せを願っておこなうことが大事になります。

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