人口減少について

更新日:2023年10月02日
人口減少について

日本は人口減少社会に入っています。それはどのような推移なのか、なぜ起きたのか、そしてその影響はどんなものか、気になるところです。今回は、そのような気になるところを細かく探ってみました。それを見ると日本の根深い社会情勢などが垣間見れるかもしれません。これを読んで、人口減少について考えていきましょう。

日本の総人口推移と将来予想

日本の人口減少が顕著になってきています。2023年7月、総務省が住民基本台帳に基づく2023年1月1日現在の人口を発表しました。全国で前年より約80万人減少し、しかも今回は、初めて47全都道府県が減少という結果となりました。

今までは、長い期間を経て緩やかに人口増加してきました。1990年から2020年までの30年間で約253万人増加しています。しかし、今後は人口減少が顕著になっていく予想がでています。2020年からの30年間でじつに約2,146万人も減少するとされています(国立社会保障・人口問題研究所が出しているものを参考)。この30年での増加数の約8倍のスピードでこれからの30年は減少していく可能性があるのです。

【日本の過去30年間の人口推移】

人口(2030年以降は推計)

対10年前比

1990年 約1億2,361万人 105.6%
2000年 約1億2,692万人 102.7%
2010年 約1億2,805万人 100.9%
2020年 約1億2,614万人 98.5%
2030年 約1億2,011万人 95.2%
2040年 約1億1,283万人 93.9%
2050年 約1億468万人 92.8%
2060年 約9,614万人 91.8%
2070年 約8,699万人 90.5%


※将来の人口推計は、詳細結果表の中の「死亡中位・出生中位」を採用

日本が人口減少していく要因

日本は数年前までは人口が緩やかながらも増加していましたが、今後は減少していくと予想されています。その要因を探っていきましょう。

出生率の低下

まずは出生率の低下があげられるでしょう。対1,000人比での統計によると1990年に10人だったのが2020年には6.8人となりました。わずか30年で約3割も低下したことになります。出生率の低下は、以下に述べる晩婚化や未婚化が大きく影響してきます。そのほか、1人の子どもを育てるのに費用が大きくかかることがあげられます。こどもへの習い事や学習塾にかかる費用は年々あがる一方、給与の上昇が見込めない社会事情が大きく反映しています。

晩婚化

晩婚化が人口減少の要因となっています。以下の表を見て頂くとわかりますが、初婚平均年齢は男女とも3歳前後遅くなっているのです。特に女性は2020年には29.4歳であり、初めてこどもを産むのは30歳代になります。1975年には第一子誕生の平均出産年齢は25歳代なので、一人の女性が産むこどもの数は必然的に少なくなります。

大学進学率が上がり、社会に進出する年齢が遅くなったことや、趣味の多様化で、独身時代に多くの趣味を謳歌してから結婚する人が増えたことなどが晩婚化につながっています。

未婚化

そして最も変化率が大きいのが50歳未婚率です。1990年と比較して、男性は約5倍、女性は約4倍になっています。2020年における50歳は、第二次ベビーブームで1年間の出生数が200万人前後というボリュームのある世代です。

この世代の未婚率が高いと物理的に出生率が低下し、人口減少がおきるのは必然でしょう。ただ就職時期が、バブル崩壊後の不況と重なって就職難となり、非正規雇用での採用が増えだしたため、将来を不安視して結婚に踏み込めないという社会事情が背景にあることを忘れてはなりません。

【1990~2020年の出生率・初婚の平均婚姻年齢・50歳未婚率の推移】

出生率(対1,000人) 初婚の平均婚姻年齢 50歳未婚率
男性 女性 男性 女性
1990年 10.0人 28.4歳 25.9歳 5.57% 4.33%
2000年 9.5人 28.8歳 27.0歳 12.57% 5.82%
2010年 8.5人 30.5歳 28.8歳 20.14% 10.61%
2020年 6.8人 31.0歳 29.4歳 28.25% 17.81%

人口減少の影響

人口減少は、日本の将来にどのような影を落とすのでしょうか。

経済が停滞する

人口が増加してきた直近30年間の中国は、人口が増加してきた間、高い経済成長率を記録し、外国からの資本も多く流入し、大きく経済が発展してきました。その元気な力は生活を豊かにしてきたのです。しかし、人口減少は経済成長率の低下につながります。モノを生産する力、消費する力が低下するからです。その元気のない力を世界が見ると、外国からの資本も流入しにくくなるでしょう。

社会保障財政がひっ迫する

年金や健康保険など日本の社会保障制度は、世界の中でも充実した制度です。退職後、収入が途絶える老後生活において、国民年金や厚生年金が充実しているため、改めて就業することなく生活を送ることができます。そして、病気やケガを患っても、健康保険が充実しています。通院・入院時の自己負担は少額で済むため安心して病院にかかれ、多額の医療費が必要となっても高額療養費制度があるので自己負担が少額で済むのです。

しかし、その制度が少子高齢化の影響で崩壊へ向かっています。年金財政は毎年、数千億円単位で歳出額が増加しています。そして健康保険の歳出額は、毎年約1兆円ずつ増加しています。そしてこれら制度の負担は現役世代が行います。

1970年ごろは、高齢者1人に対して現役世代は10人ほどの人数で支えられていましたが、2000年ごろには4人で支えるように、さらに2030年ごろになると、2人が支えなければならなくなります。現役世代一人あたりの負担が重くなり、その重さに耐えられなくなる事態に陥りかねない可能性があるのです。

まとめ

今回は、人口減少についてお話してきました。日本は現在、人口減少が顕著になっています。その要因は、個人の価値観や、不景気に陥ったバブル崩壊後の社会情勢も影響していることが垣間見られます。そして、人口減少が今後の日本に与える影響も予想されています。出生率を上げてその影響を回避するか、影響は受け入れて対策を講じるか、日本は大きな分岐点に立たされているといえます。これを機会に人口減少について考えてみてはいかがでしょうか。

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